ノベル

小さな記事の裏側

「小さな記事の裏側」空と雲と風

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※この作品は短編詰め合わせです。
今回はその中から「消えゆく小鳥」と「青空の自由」の紹介です。

喫茶店で短いお話を聞くという形式になってます。喫茶店では男女一人ずつの店員さんがいます。


『引用含む説明』
一つの話で30分ほどの一本道ノベル。
※ゲーム内には複数本の話が入ってます。
今回は「消えゆく小鳥」と「青空の自由」についてのみの紹介です。
小さな記事の裏側にも、様々な物語があるのです。
ここは隠れた名店「小さな記事の裏側」
そこで語られる、小さな小さな物語。
たった数行の記事の裏側にも、そこには確かに人の気持ちが存在していたのです。
※第2話には一部成人向け要素が、第3話は差別用語に感じる言葉が含まれますので、その事を納得の上、自己責任にてお読み下さい。決して性的興奮や差別を意図したものではなく、あくまで物語上での重要な演出なのですが、そのことに嫌悪される方は、あらかじめ読まないことをお願いしておきます。

『見所』
ひばりが心情を明かすシーンは切なくて胸がきゅーとなります。
自立や差別意識などテーマは重く、色々考えさせられます。
そのテーマをより際立たせるエピソードの作り方が上手いです。
スチルが美麗で演出も素晴らしいです。

こんなセリフ聞かされたら泣けてきますね・・・。

☆タブーに踏み込んだ意欲作
本作品は自立や障害者差別を扱っています。普通は障害者差別というとお涙頂戴の感動話や苦労はあるけど頑張ってるんだという、とにもかくにも希望があるんだという結論になりがちです。が、この作品はインチキ臭い救いなど排し、障害者のリアルな姿や健常者の赤裸々な差別意識などをバッサリと切り取っています。すごいです。この点だけでも大きく評価したいですね。

月に照らされる中でひっそりと佇む図。管理人お気に入りのシーンです。

このゲームをやってて一番心に響いてきたのはやはり、ひばりのセリフですね。多くの健常者は障害者と深く付き合った事はないと思います。私もありません。なので障害者がリアルでは何を考えどんな事を感じてるのかほとんどわからないし、知る機会もあまりないんですよね。でもこのゲームでは「ああ、なるほど、こういう感覚なのか」というのを知る一助になってます。「それを認めて?」というひばりのセリフはかなりグッときました。文章、音楽、演出、どれをとっても一級品だと思います。切ない雰囲気が好きというかたは是非プレイして欲しい作品です。

外伝では問題の一つの答えが示されます。

青空の自由では、消えゆく小鳥で問いかけられた問題の一つの答えが示されます。ハッピーエンドかどうかは、私には判別できません。ただ、鳥かごを拒否して懸命に生きようとするひばりの姿は健気でいじらしかったし、ひばり本人は最後まで前向きなので、これはこれで幸せなのかもしれないなとは思いました。バッドエンドと感じる人も多そうですが・・・。いずれにしても、両作品で示される命題は多岐に渡ってます。が、説教臭さはありませんので自分で答えを考えるも良し、雰囲気も楽しむのも良しな作品です。難しいテーマを上質な物語に仕上げた作者さんの腕と着眼点には改めて賛辞を送りたいと思います。

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探し屋トーコ

「探し屋トーコ」 COF*Works

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冷たい? いえいえ、トーコさんは独善的な優しさがないだけです。

『引用含む説明』
9~10時間程度でノベル+コマンド選択式アドベンチャー。
基本的にシナリオは一本道です。
ポイントごとに任意の視点切り替えがあります。
複数の主人公の視点で事件を追う、コマンド入力型アドベンチャーゲーム
これは探偵ゲームと銘打ってありますが、推理ものでもなければ、凶悪犯と対峙するようなものでもありません。ただの「探偵もの」です。
プレイする人によっては拍子抜けするような内容かもしれませんが、よろしければレトロな感覚で楽しんでください。なお、これまでに発表したPartIとPartII、そして今回追加したPartIIIを全て遊べる内容となっています。
過激な性を連想させるシーンもありますが、連想であって直接的なシーンはありません。

『見所』
リアリティのある探偵稼業の描写は興味深くて面白い。
クールな探偵と熱い助手の組み合わせが上手く描かれている。
読み疲れた頃に視点を変えられるので飽きない。
サブキャラにもエピソードがあったり、キャラクターメイキングが非常に丁寧。
Partごとの読後感がとても心地よい。曲を挿入するタイミングもグッド。

人に歴史あり。多くのキャラにエピソードがあります。

☆リアルな探偵物語
すごく面白かったです。このボリュームにも関わらず一気にクリアしちゃいました。続きが気になって気になって、もうクリックが止まらない状態でした。派手な事件はありませんが、地味でも一般人のリアルな断片を上手く描写してるので、かえって探偵稼業の興味深い面白さがあります。キャラの造詣も秀逸です。レッテの純粋さや天然ぶりは面白くて可愛いし、シンゴは過去の回想部分と最終章が引き込まれました。絶望から立ち直る姿もよかったです。トーコは厳しさの中に優しさがあるところがいいですね。トーコの過去の話はなかなか面白そうで、ヒカルとの出会いの部分などをもっと詳細に読みたかったです。

このキャラとの出会いは慎吾にとって重要なものになってます。

ゲームは章ごとの連作になってるのですが、キャラやストーリーが連作に十分耐えうるクオリティでかなり深みがあります。キャラはゲームを進めるほど味が出るし、ストーリーはドキドキ・ワクワク・ハラハラ・ニヤニヤ・色んな感情が楽しめます。どこかのマンガ雑誌に連載されてもおかしくない程の素晴らしい完成度で、もし連載されてたらマンガ版も買いたいですねw そう思わせてくれるほど魅力的な作品です。総プレイ時間は長いけど、一つの章は1時間~1時間半程度なのでちょっとずつでも楽しめます。全部読み終えるのに疲れそうだと思ってる人は、少しずつ楽しんでみて下さい。クリア後に「もっと読みたい!」という感覚に変わってる可能性は高いです。

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新月の夜に晩餐を

「新月の夜に晩餐を」空色天体博物館
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疎外された者同士が寄りそい合う、ささやかな幸せ。

『引用含む説明』
西洋伝承系ノベル 月が満ちてからかけるまで、十五日間の物語
40分~1時間程でマルチENDです。
もうずっと戦争を続けている国と、国の境目に近い森の中。善良な人々が近寄らない森には、『魔女』が住んでいる――ジャックが何も知らずに足を踏み入れたのは、そんな森だった。逃亡と拒食の結果、空腹で倒れたジャックを救ったのは、『魔女』として一人森で暮らす少女コレットその人。
――たべたくないたべたくないたべたくなんてないから、もう喰べない――
月が満ちてからかけるまで。
青年ジャックと少女コレットの十五日間の物語。

【カニバ・ヤンデル・魔女狩り・捕食・鬱展開】などのキーワードがアンテナにひっかかる方向けのノベルゲームです。苦手な方はプレイをお避け下さい。

『見所』
閉鎖的でオカルトチックな中世の雰囲気がよく出ています。
疎外された者同士の交流が切ないです。
後半のホラー風のスチルはかなり恐いです。
上記赤文字の【】内の要素がいかんなく楽しめます。

トミーの登場シーン。彼女の目的とは?

☆新月の夜の晩餐は
疎外された者同士が寄り添い合う。私はこのシチュエーションが大好きです。ジャックとコレットは少しでも長く一緒にいられますようにと、願わずにはいられませんでした。この意味でいくとアナザーエンドが幸せなのかなあとも思うけど、トゥルーエンドの終わり方も悪くないと思ったり。いずれにしても、ものすごく切ない終わり方なので、切ないエンドが好きな人には、その要素を十二分に堪能できる作品です。ウツゲー好きの私としてはかなり楽しませて頂きました。

平行線の二人。因縁や業はとても深いです。

チラと書きましたが、この作品、後半のスチルがけっこう恐いんですよね。前半はほわんとした優しい感じなのだけど、後半は猟奇的でゾッとするようなスチルがあります。雰囲気はとても上手く出てるなあと思いました。あと、ストーリーの構成も素晴らしく、隠された謎はかなり驚くと思います。単純な魔女狩りと思っていたら、コレットの両親にあんな秘密があるとは・・・。その両親の秘密と、コレットのその時の気持ちがピタリとリンクするので、この構成はとても感心させられました。読んでいて気持ちよかったです。物語全体はひたすら退廃的な空気で満たされてるので、ダークな世界が好きな人にはたまらない作品です。

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TRUE REMEMBRANCE

「TRUE REMEMBRANCE」
TRUE REMEMBRANCE

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オセロに興じる二人。日常風景も読んでて楽しいです。

『引用含む説明』
白い街での青年と少女の日常を描いたオリジナルノベル
選択肢なしの一本道ノベル。
プレイ時間は3~4時間ぐらいです。
忘れたいほど悲しい記憶を持った人々が訪れる、白い街。
その街で記憶を封じる職業、『封士』を生業にする青年・黒目。
黒目のもとを客としてラという少女が訪れる。
一人称視点で進む分岐なしのノベルです。


『見所』
物語の底流にある温かみがとても心地良いです。
繊細で切ない雰囲気が上手く出ています。
最後に明かされる謎がけっこう驚きます。
優しいタッチの絵柄がとても和みます。

二人の関係がどう変わるのかも見所です。

☆優しい記憶の物語
人は誰しも忘れたい記憶というものがあるものだと思います。本作はそういった多くの人が思う願望をテーマにした作品です。物語は封士である黒目の元に患者であるラがやってきたところから始まり、この二人を軸に様々なキャラが絡んできて、ある謎が明かされていくという構成になってます。視点変更もあり、魅力的な人物も多いので淡々とした雰囲気なのだけど話は賑やかというか、謎もあってストーリーは面白いです。私が好きなのはメインである、黒目とラのやり取りですね。主治医と患者ではあるけど、親と子供のようでもあり、男と女でもあり、多面的な関係性がもたらす微妙な距離感や、それが縮まっていく様子がとても楽しく読めました。影のある黒目はカッコいいし、照れたりするラは可愛いです。キャラの描写がとても魅力的というのも本作の長所の一つなのだと思います。

この絵、すごく好きです。眺めていたくなりますね。

私が思う本作のウリはなんといっても独特の雰囲気ですね。暗さがあるのだけど、リアルではない架空のファンタジー世界を舞台にする事で幻想的な味が出て、暗さがもたらす鬱屈感を上手く薄めてると思いました。加えて物語には常に温かい優しさが流れてるので、触れ続けるのがとても気持ちよく感じられるんですよね。これは理屈じゃなく感覚的なものに近いです。芸術作品と似ていて、わからない人はピンときませんが、わかる人にはなんかいいなあ・・・と感じられる性質のものなんだと思います。もし、それがわからなくとも、物語全体に溢れる優しさは感じられるはずだし、ストーリーも面白いです。ひたすら字面を追うのではなく、穏やかな気分の時にゆっくりと読み進めるのが私が推奨する遊び方です。

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タマシイノモリ

「タマシイノモリ」異端者
Morijin
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序盤から緊迫したシーンが多数あります。

『引用含む説明』
"理由がある"アウトドア・ホラー
初出:コンパクWeb2007SUMMER 銅賞受賞作品
マルチエンドのサウンドノベルです。
全てには”理由”がある…
”理由のある”ことにこだわったSFホラー
・ストーリー
 現代(日本?)を舞台として、とある山奥に迷い込んだ少年少女の物語です。途中、謎の存在に襲撃されて、二人は必死に脱出を試みますが…従来の「箱モノ」(洋館や校舎等)ホラーと異なり、閉塞感の無いストーリー展開となっています。
・システム
 アドベンチャーゲームの制作に適した「吉里吉里」によって作られている為、途中からやり直してもあまりストレスなくプレイできるつくりとなっています。マウスのみでプレイでき、テキストを読み進めて時折現れる選択肢を選ぶだけです。ゲーム自体はそれほど難しくないので、たいていの人は簡単にクリアできます。
・演出、雰囲気
 このゲームはキャラクターの絵などは一切無く、三重県の山の背景画像と縦書きの文章、時々入るBGMと効果音で構成されています。その為、最初はとっつきにくい所もありますが、派手さやコミカルな演出が無いので落ち着いてプレイできます。
・その他
 二人の主人公が場面によって入れ替わるので、それによって視点が変わります。慣れないうちは分かりにくいかもしれませんが、効果音が入って瞬時にブラックアウトする時がそうです。

 4章構成(LOST1~4)、総プレイ時間2時間半程度ですが、ストーリーが進行するにつれてキャラクターの説明やエンディングリストが追加されます。

グロ表現がありますので苦手な方はご注意下さい。

『見所』
序盤から緊迫したシーンが多く引き込まれやすいです。
その緊迫した場面は巧みな描写で読み手を夢中にさせます。
レベルが高い、かなり読ませる文章です。
視点変更がいい具合にアクセントをつけてます。
背景画像は作者さん自作で全てオリジナルです。

緊迫した中での、ほのぼのとしたヒトコマ。

☆彷徨えるタマシイ達
導入部から大きな動きがあり、テンポよく進むのですぐにのめり込めます。まずここがすごくよかったですね。退屈な日常シーンの描写などはなく最初から緊迫したシーンが連続して展開されるので目が離せなくなるんです。文章も上手く、続きが気になるストーリーだったので私は一気に読破しました。ユーザーを惹きつける大切な要素である”掴み”というのは成功している作品だと思います。選択肢も多いし、いいタイミングで視点が変わるので適度な刺激があってダレるということはありませんでした。この辺の演出、読ませ方はすごくよかったです。後半は専門用語がけっこう出てきますが、ある程度知識があるなら理解できるのでご安心ください。

居場所がないという少女。その理由とは。

背景はすべて作者さんのオリジナルらしく、こういうのってなんかいいんですよね。作者さんの自作品に対する愛情が伝わってくるみたいな。私は三枚目の水辺の写真がけっこう好きでした。登場人物のキャラ造詣はなかなか興味深く、主人公への感情移入は難しいかもしれませんが、社会から白眼視されるような異分子に嫌悪感がなければ楽しめると思います。あとは説明文にある通りグロ要素、ちょっと猟奇的な部分があるのでそこに極度の嫌悪感がなければおそらく大丈夫かと。色んな意味で生き残るとはどういうことなのかを考えさせられる内容で、単なるサバイバルゲームではありません。深みのあるテーマと共に物語を楽しんでみて下さい。

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完全制圧宣言

「完全制圧宣言」Light Rain
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クールなメガネ萌え男子にはかなり萌えますw


『引用含む説明』
女性向け恋愛乙女ゲーム
一周1~2時間の乙女ゲーです。
◆あらすじ◆
風間水比は全く非の打ち所がないカンペキ人間。
だが、とてつもなく性格が悪い!!!
女を次から次へと捨てまくる彼の捨てセリフは
『俺の為に死ねるのなら本気になってやってもいい!!』
そんな関ってはいけない奴を、ついうっかり
助けてしまったから、さあ大変!!!!!!!
いろんな危機が迫り来る中……!?
このゲームは女性向けの恋愛ゲームです
一周約一時間攻略人数3人

※本作品は15歳以上推薦です。

『見所』
文章はかなり上手いので、テンポよく読めます。
ゲームの途中に歌が入るのも盛り上がります。
秘密のあるカッコイイ男の子達には萌えまくりです。
些細な部分も手抜きはなく、非常に丁寧な作りのゲームです。

心と身体の選択? 両方という項目が欲しいですw

☆心も体も完全制圧
おそらくこのゲームの最大の魅力は作者さんの巧みな文章技術です。中編(短編)にも関わらず、面白い長編のようなクオリティがあるのはすごいなあと感心しちゃいました。一部にやや強引な展開はあるものの文章がうまい上に演出も高レベル、ギャグとシリアスの配分が絶妙なので読み手を飽きさせる事なくEDへといざなうんですよね。赤いウィンドウがイマイチ慣れないなんて、そんな些事はどうでもよくなってしまう、その筆力はお見事の一言に尽きます。作者さんは少女マンガのような感じを意識して作ったそうなのですが、なるほど本作には少女マンガ風のノリや勢いや読みやすさというエッセンスが詰まってると感じました。

消されてしまう?!  男の子には色々秘密があるのです。

水比はかなりぶっとんでます。強引でワガママで自分勝手です。でも、本当はいい奴なんですよね。何よりあの性格とメガネとのギャップがものすごく萌えてしまいました。ふぉおおおってな感じですw こういう男の子にならもうどうにでもしてーというか完全制圧されてもいいなあと思えました。保月ルートは幼馴染要素や王子様要素がニヤニヤ楽しめますし、チョーさんルートは謎めいててミステリアスでムードが楽しめます。どのルートも共通して作者さんの非常にハイレベルなテンポのよい文章が楽しめますのでフルコンプ推奨です。主人公が男の子に制圧されるのもそうですが、もしかしたら本当の意味の制圧というのは作者さんの筆力に酔わされるユーザーなのかもしれません。制圧されるのも悪くない、それどろか非常に気持ちよく思える作品であります。

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南月島の人魚

「南月島の人魚」night a star

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旅先の出会いっていいですよね。

『引用含む説明』
沖縄の離島が舞台のサウンドノベル 人魚伝説、神隠し、廃病院……不可解な謎の行き着く先は?
プレイ時間、3~4時間の一本道サウンドノベル。
沖縄県の南月島(みなみつきしま)を舞台とした長編。
翔とピーコは、一夏の思い出に観光旅行に出かける。
たくさんの人々と出逢い、楽しいひとときを過ごす翔たち。
しかし楽しい旅行の最中に、彼らは事件に巻き込まれる。
島にまつわる人魚伝説、そして神隠し……果たして島に隠された謎とは?
『南月島の人魚』はオリジナル・サウンドノベルです。
ポケスペ小説大賞で最終選考に残った原作をサウンドノベライズ。
本作は、ノベルゲームではなく、イラストや写真、音のついたノベルです。
便宜上、ホラーアドベンチャーとしてあります。
一夏の旅行に行ったような気分を味わっていただければ嬉しいです。


『見所』
背景や文章は擬似旅行気分をうまく盛り上げてます。
沖縄弁の多数仕様もいい味出してます。
旅行やホラーや恋愛等の要素が上手く絡み合ってます。
多くの点が長短の線になるので、物語の完成度は高いです。

ケイタさんやヒナちゃんは萌えキャラかも?w

☆人魚の涙が意味するものは
まず、沖縄の魅力がそこかしこにちりばめられてる所が良かったです。作者さんの紹介にもありましたが、私は沖縄への旅行気分をけっこう味わえました。また、沖縄へ旅行したい気分にもなりましたw 本作は郷土愛の表現が多々あり、そういうのって思い入れが伝わってくるので私はけっこう好きです。楽しい沖縄旅行に人魚や神隠しや廃病院などの要素が上手く絡み合って、より魅力的な沖縄への擬似旅行になってます。そういった要素が最後にうまく収束されていくのもお見事と思いました。ここまで細かく伏線を張って、丁寧に回収する作品は長編のフリーゲームでは珍しいかもしれません。

ホラーな部分もなかなか見物です。

このゲームはかなりの良作なのに、なぜか意外とレビューされてないんですよね(動画はあるけど)。二年以上も前に出されてるのに、なんでなんでしょうね? 王道的な面白さなので、決してユーザーを選ぶような類の作品ではないのに・・・。断言しますが、本作は多くの人が楽しめる万人向けのエンターテイメントです。安心して遊べるので是非気軽にプレイしてみて下さい。入り込める人なら擬似沖縄旅行の気分が楽しめるはずです。

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こんな物語

「こんな物語」LAT

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素っ気無い態度ですが根は優しい人です。

『引用含む説明』
1時間~1時間半程の一本道ノベル。
恋愛ノベルゲーム
あの日俺は全てを失った
一人で生きて行かなければならなくなった
全てを捨て孤独と共に
手には一つの古びたバッグ
中には大切な宝物
そして一枚の手紙
いつか届くと信じて
俺はその日まで
歩いていく


『見所』
導入部から面白く、かなり質は高いです。
日常の描写も巧みで退屈を感じません。
急展開にはかなり驚かされます。
オチ自体は上手く、綺麗にまとめています。

主人公の過去には何があったのか?

☆丁寧に作られた物語
導入部分から事件が起こるまで大きなドラマはないのですが、日常生活の小さなドラマを上手く描写してるので不思議と飽きたりしません。面白い作品でも序盤はフツーだったりすることが多いのですが、本作は序盤から面白いです。これはかなりの文才だと思います。心情の書き方は丁寧だし主人公も真面目な青年なので、ユーザーは感情移入しやすくけっこう主人公を応援したくなるのではないでしょうか。

この女性の登場で物語は大きく動きます。

オチはかなり綺麗です。完全ハッピーENDとはいきませんが、物語としては十分過ぎる及第点です。完全ハッピーEND版も読みたい気はしますが、上手くまとめようとすると本編を超える分量になるかもしれないので本作のマルチED化は難しいかもしれません。そう考えると下手にマルチENDを作らなかった作者さんの判断は正しかったのだと思います。本作は悲劇というスパイスがちょうどいい具合に効いてる物語です。ちょっぴり大人の味付けがされた上質な物語をよく味わってみて下さい。

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ホームタウン

「ホームタウン」出窓のすなばこ

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家が全てのポイントです。

『引用含む紹介』
一周1時間~1時間半程のマルチED。
サイコ・サスペンス・ノベルゲーム 真実は…じゃない
NScripterで作成した、サイコ・サスペンス・ノベルゲームです。
舞台は、どこにでもあるような地方の平凡な町。
殺された兄の謎をとくため、主人公はガールフレンドと、兄の残した家に行く計画を立てるが―エンディングは18通りあります。


『見所』
緻密で奥の深いシナリオ。
二転三転する驚愕の展開があります。
伏線の回収が丁寧で、なるほどと思う部分が多いです。
明かされる真実の驚き度はかなり高いです。

主人公へ当てたメッセージ。何が書いてあるのか?

☆二時間サスペンスを上回る傑作
感じとしてはTVの二時間サスペンスに似てますが、それとは比べ物にならない程の作品です。隠されている真実も、展開も、キャラもストーリーも本作の方がはるかに優れています。サスペンス好きの人には是非オススメしたい作品です。完全トゥルーENDはやや難しいですが、トゥルーENDに近いENDは自力でもいける難易度なので、かなりの真相に迫る事ができ、攻略サイトなしでも満足感は得られると思います。

トゥルーENDで明かされる真実にはなるほどと思わされました。

途中で明かされる驚愕の真実を知ってからは一瞬たりとも目が離せなくなります。「まさかそんな真実が・・・!」と思ってしまうような展開なのです。これは本当に意表をつかれました。人物のバックグラウンドは作りこまれているし、またストーリーも非常によく練られた作品だと思います。

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call pure pain

「call pure pain」呼び声のするトコロ
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他人の痛みって、なかなかわからないものなんですよね・・・。

『引用含む説明』
病院を舞台にしたデジタルノベル
プレイ時間は1時間から2時間くらい選択肢無しのデジタルノベルです。
御巫白雪は病院にも行ったことがないほど健康だった。
いつもと同じ同僚と仕事をする日々。
けれど小さな咳は日常を…非日常に変えていく。
そして、痛みが心を壊していく…。

『見所』
物語全編に満ち溢れている優しさ。
ほわっとする和み系の絵。
癒し系の雰囲気。
プレイ後はかなり穏やかな気持ちになれます。


主人公が見つめているものとは・・・。

☆穏やかな優しさをあなたに
痛みは諸刃の剣です。痛みを受けた人はその痛みを他人にぶつける場合もあるし、逆に同じ痛みを受けてる人に優しくなれる場合もあります。たいていの人間は前者になるのだけど、本作は病院という舞台設定もあってか後者のタイプの人間が多いです。苦しかったり痛みを抱えたりもしてるのだけど、その痛み(作者さんが言う所の苛立ち)を他人にぶつけ続ける、度を過ぎた八つ当たりをする困った人はいません。基本的にみんな優しいんですよね。主人公は入院してかなり落ち込んでしまうのですが、いろんな人との触れ合いがまったりと穏やかで読んでいて心地よかったです。

おまけでは短編が三つと、本編に出てこないイラストを観賞できます。

物語全体はかくも優しさに包まれてるので、プレイ後はかなりほわ~とした優しい気持ちになれるはずです。患者は普通優しくされるものだというのを割り引いても、ユーザーは登場人物達の優しさに触れ続けるので、ヒーリングにシンクロというか、センチメンタルな情緒が胸にじわーっと染み込んでくる感じというか、ちょっとした癒しみたいなものを私は感じてしまいました。リラックスといってもいいかもしれません。劇的な展開は少ないですが(ゼロではないです)、そのかわり落ち着いた心地良さは十二分に味わう事ができます。私が知る限りでは一番優しさに溢れてるゲームでした。余裕のない日常を送ってる人が一息つくのにもってこいのゲームだと思います。日々に疲れを感じてる人はこの安らぎを是非味わってみてください。

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